【水俣芦北】田辺正宜・会員(ファームたなべ代表)がMS講話
テーマ:「感動農業」
8月17日のモーニングセミナーでは、八代北倫理法人会 田辺正宜・会員(ファームたなべ 代表、(株)健光 代表取締役)が、「感動農業」をテーマに約40分講話を行いました。以下は、講話の抜粋です。
私は73歳になりましたが、東京農業大学の客員教授として20年ちかく農業の現場や課題について講義をしております。農業は、「倫理」がいっぱいです。
八代市昭和町は、昭和元年に干拓入植が始まり、当時の農業指導者・松田喜一先生の元で10数万人の人が農業の教育や実習を受けました。松田先生の言葉に、「稲は稲から学び、世の中の事は世の中から学べ」、「自分が変れば世の中が変る」などがありますが、田んぼに行って稲と話すことが大切であり、理論より実践せよというところが、丸山敏雄先生の「万人幸福の栞」と一致します。
「人並ならば人並、人並外れにゃ外れぬ」という言葉もあります。人並以上に勉強して努力した結果が金メダルであり、良い仕事ができます。
台風でガラス温室がすべて倒壊して茫然
西日本一の規模でモデル事業を展開していましたが、平成11年9月の台風でガラス温室がすべて倒壊して茫然となりました。ガラスだけでダンプカー74台分の産業廃棄物が出ました。「もうやめよう!」と思いましたが、当時の熊本県知事が来られて、「止めないで。熊本県の農業者の意識が下がりイメージダウンになるから」と励まされて、再出発しました。
風速60メートルの台風にも耐えられる「耐候性ハウス」を設置して、今日に至っています。最近は、八代市内のほとんどの小学校から子供たちが社会勉強に来ています。
ハウスの中では、最初感動メロンを作っていました。会社が贈答用に使うメロンとして高級なメロンづくりをしていました。バブルが過ぎて企業が贈答用品を贈らなくなってから採算が合わなくなり、メロンづくりをきっぱりやめました。それからはミニトマトを作っております。
「感動しないものは、農業はするな!」というのが、私の考えです。おいしいメロンを食べておいしいと思わない者は、おいしいメロンを作ることはできない。きれいな花を見てきれいだと思わない者は、きれいな花をつくることはできない。感動こそ、人間の基本です。感受性のない人は大したものは作れません。
ピアスして仕事を楽しむ
家内は、67種類のハーブを作っています。パートさんたちを10数人雇ってしごとをしていますが、ダサイ恰好ではなくファッション化してピアスして仕事を楽しんでいます。家内は、これまで女性経営者として農林水産大臣賞を4つ受賞しました。潮谷義子熊本県知事の時は、与える人も受ける人も女性という珍しいことが重なり、男女共同参画推進の時でそのことが全国に発信され、全国から家内に講演の依頼が来るようになりました。
農業の役割は、①空気の浄化、②地下水のかん養、③心身の癒し、④食料の供給、⑤文化の継承、⑥健康の増進などがあります。もっと農業を見なおして、農業を発展させていきたいです。私の好きな言葉に「どんなに立派なことを言うよりも、一つの実行の方がより尊い」、「人は苦難の中では磨かれるが、安逸の中では堕落していく」というのがありますが、倫理の教えと全く同じです。入会して数か月しか経っていませんが、皆さんにお会いできて本当に良かったと思っております。ご清聴ありがとうございました。
この講話文は、講話者のご承諾をいただいて掲載しています。