【水俣芦北】宮田晃宏・熊本北会員(鹿本農業高校進路指導部長)がMS講話
テーマ:「高校において『心幹(しんかん)』を育み、人材育成!」
令和5年8月23日のモーニングセミナー(MS)では、熊本北倫理法人会 宮田晃宏・会員(鹿本農業高等学校 進路指導部長)が「高校において『心幹(しんかん)』を育み、人材育成!」をテーマに講話を行いました。県内各地の農業高校の教職を歴任しながら真摯に生徒たちに向き合ってこられた教育実践の結果には、会社の経営に通じるものを感じました。以下はその講話の抜粋です。
・私が担当している教科は農業で、「食品加工」や「食品分析」についてである。しかし、本当の専門は、①学級経営、②農業鑑定、③進路指導と、自分では思っている。「心幹を育む」とは私個人の造語であり、生きていくうえで心の幹(根っこ)になるものです。
・「心幹を育む」ために、「書かせる指導」を行っている。自分の思っていることを生徒に徹底して書かせる。また、①欠席、遅刻、早退を極力「0」に近づける。②提出物は期限にきちんと仕上げて提出させる。③クラス内、学科内、学年内での「情報公開」。④入学後1か月以内に保護者・生徒の理解を得るよう努めている。
・自分の周りの出来事の作文を1週間に2本(800字から1200字)書いて提出するようにした。一クラス40人くらいのクラスを10年以上担任して、未提出はゼロになった。徹底的にやった。それに対して自分も3日または1週間以内にコメントを書いた。最初のころ未提出者がいた場合、反省文と一緒に提出させた。これに従わなかったら、家庭訪問してその場で書かせた。1回やれば噂が広がり、誰もしなくなった。
・生徒には頑張る生徒と迷惑をかける生徒がいて、彼らには関心を持ち目が届くが、中間層の生徒には何もしないで1年が終わる可能性がある。私はこの中間層の生徒たちの姿勢でクラスの雰囲気が変わると考え、やりとりを真剣に考えた。このため文通するという感覚で生徒のことを知ろうと思って、提出物に長時間かけてコメントを書いていった。
・学級内のクラスの雰囲気が良くて、他のクラスに比べて出席状況がとても良かった。1クラスで皆勤賞や無欠席の生徒が30人以上常にいたことに感動した。また、「農業鑑定」の熊本県大会や全国大会で最優秀賞や優秀賞をとる生徒が毎年のようにでてきた。熊本農業高校では、3年間の勤務で日本一になる生徒を3名輩出した。松下政経塾主催の立志論文コンテストでは、2年連続で日本一をとることができ、生徒たちが自信を持つようになっていった。
・宮田が赴任していたある農業高校では、500人のうち100人程が毎年懲戒指導等を受け、卒業するまでに60~70名が中退していたが、宮田が担任していた学年が卒業する平成15年には中退者は30名程度にまで改善され、卒業生が増加した。さらには所属する学科から学科創設以来初の国公立大学に合格する生徒も輩出し、その流れを確立した。また、学校全体の四年制大学合格者も二桁になった。卒業生の中には、教員になった教え子が20名程いる。私も人材育成に少しは役だったと思っている。
・生徒が頑張って結果が出るようになってきたので、私に対して講演や講話の依頼が来るようになってきた。ベネッセコーポレーション本社(岡山)や県外からの講演、教育雑誌等への執筆も受けるようになってきた。学校訪問も増加し、今まで100回程の依頼を頂いた。
・真剣に「心幹教育」を実践してきたが、生徒たちもよくついてきてくれた。風邪をひいて熱が出ても生徒は登校してきた。私は、大雪や台風の日でも学校に来るように言っていた。やらされている意味を生徒が理解して、ついてきてくれた。実際「心幹教育」を実践してきて、ここまで生徒が伸びてくれるのか、と感動した。ご清聴ありがとうございました。