熊本県倫理法人会

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11月27

【水俣芦北】吉井和久・熊本県南地区長がMS講話

テーマ:「百姓という生き方~拠って立つところ」

令和71126日(水)の経営者モーニングセミナー(MS)では、熊本県倫理法人会の吉井和久・県南地区長(㈱まるごと農場代表取締役)が、「百姓という生き方~拠って立つところ」をテーマに講話を行いました。最初すなおに受け入れられなかった倫理の学びが、ある出来事を通して<目から鱗>が落ちて転換したという体験発表に感激しました。以下は講話の抜粋です。

1960年水俣市生まれ、東京農業大学農学部林学科卒業後、家業の農林業を営む。百姓というのは生き方であり、仕事と暮らしの区別があいまい。大体午前6時半から午後7時くらいまで仕事をし、日曜日も田んぼを耕したり草取りしたりしているが、それは仕事というより暮らしの一部でもある。また、音楽が好きなので月に一度はライブや旅行にも行って気分転換している。

2014年、法人として(株)まるごと農場を立ち上げたときに倫理法人会に入会した。倫理法人会は、時間や進行などの運営がきちんとしており、一番性に合っていて気持ちが良かった。

・現在、地区長というお役を受けているが、役に徹するということも実践の一つ。受けた以上は責任がある。引き受けた以上はしっかりやる。役に徹することで、自分の成長につながるし、会の運営もうまくいく。

・実は自分は責め心の強い人間だった。自分は器用な方なので、できない人を見ると<なんで!>という責め心があった。その責め心をなくすために今「人は鏡」の実践に取り組んでいる。また、以前は、不平・不満・怒り・自己嫌悪がいっぱいあった。その原因を外にある政治や社会や環境に求めて、イライラしていた。倫理で『運命自招』を学び、「原因は自分でしかない。それを変えるのは自分でしかない」と気づいてから、不平不満の心が消えていった。「己が一切である」と思うようになってから、周りに反発しなくなった。

・農林業は自然との闘いがある。打ちのめされることが数多くあった。台風で山が全滅したことがあった。数百万の損害だ。田んぼをイノシシに荒らされたり、自然災害がすごくある。「自分はこんなに頑張っているのに、なぜ!」と怒りや嘆きになる。

・『万人幸福の栞』の中に、「農業のような自然力によった仕事でも、憂えるから実りが悪くなる」(107)とあるが、最初は違和感があり納得できなかった。富士高原研修所で行われた経営者セミナーのチャレンジコースに参加した時に、自分の心が変わった。チャレンジコースは滝に打たれる業があり、1月の寒い時に冷たい水をかぶるのだが、その時に指導員が言ったことばが、「寒い冷たい水にあらがったらダメです。受け入れて下さい」という一言だった。それまで私は、「政治・社会・環境が悪い」と立ち向かっていたが、すべてを受け入れるようにしたら<目から鱗>が落ちた。

・その年に水俣芦北倫理法人会会長の役を拝命することになった。周りで起きていることは自分がやるしかないと腹に据えたら、怒ったり嘆いたりしなくなり、穏やかな気持ちになった。

・農業でいいものを作るたった一つの秘訣がある。近所のおばあちゃんが、独りで4反の米を作っている。機械でする仕事はまるごと農場でするが、水の管理や肥料をやる仕事はおばあちゃんがする。稲刈りをしたとき地面を見ると足跡だらけだった。収穫も沢山獲れたのでびっくりした。このおばあちゃんのように田んぼに沢山足を運んで足跡をつけることがいいものを作る秘訣だ。

・いい人間を作ろうと思ったら沢山MSに参加して足跡をつけることだ。これしかない。

「常居其全」;丸山敏雄先生の座右の銘だそうだ。常に今いるところで全力を尽くすこと。環境がどうのこうのではない。その時その場でいかに自分の全力を出せるかということ、全てを受け入れる覚悟を決めると恐れるものがなくなる。倫理を学んで、そういうことを教えられた。ご清聴ありがとうございました。