熊本県倫理法人会

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7月08

【水俣芦北】田中史朗・法人レクチャラーが「経営者の集い」で講話

テーマ:「支えてくれた妻のひと言」

令和6年7月5日(金)の「経営者の集い」(NS)では、(一社)倫理研究所法人局 田中史朗・法人レクチャラー(㈱田中設計事務所 代表取締役)が「支えてくれた妻のひと言」をテーマに約1時間講話を行いました。「語るも涙、聞くも涙…」。お酒を飲んだら理性を失ってしまうクセによって暴力事件を起こし、翌朝監獄に入っていたという体験の持ち主。妻の言葉で改心し、今では別人になられたお話に、泣いたり笑ったりドラマを見るようにとても感動しました。

・昭和55年2月、佐賀県伊万里市生まれ。父が創業した会社に平成13年入社、26年に代表取締役に就任して今日に至る。翌27年、小城市倫理法人会に入会したが、約1年間は幽霊会員。伊万里有田倫理法人会が設立した際、幹事を拝命して初めて経営者モーニングセミナー(MS)に参加した。

・当時は、商工会議所青年部で毎日のように飲み会があり、MS参加の約束を毎回破っていたが、「自宅まで迎えに来る」と言われ、観念して参加するようになった。MS朝礼を見てカッコイイと思い徐々に参加、妻にも声を掛けられ、夫婦で参加するようになった。

・MS委員など役職をすなおに受けると自分が成長し会社も発展していくので、役を受けることはいいことだと思う。会長になってほしいと打診されたときは一晩考えたが、翌日引き受けることにした。

・日曜日がMSであり、土曜日に飲み明かしてそのままMSに参加していた。私は非常に酒癖が悪く、全く記憶がなくなってしまう。人に絡んで喧嘩して、みんなに迷惑をかけて道端に寝てしまうことが頻繁にあった。

・会長を受けるにあたって妻に相談した。妻は「今のままではダメよ。酒を飲んだ後MSに行っていて会長職が務まるわけはない」と言われたが、私には「今までやってきたのだから大丈夫」という気持ちが強かった。ところが、酒にまつわる失敗談をたくさん聞いて不安になり、倫理指導を受けた。すると「後始末の実践をしてください」というアドバイスをいただいた。

・その半年前、会社の存続を脅かすような大きなお酒の失敗があった。お酒を飲んで記憶がなくなった。暴力を働き、警察沙汰になったらしい。朝起きたら留置場にいた。実は逮捕されていた。その日は釈放されたが、「これから裁判ですよ」と言われた。刑事事件で私が有罪になったら会社はつぶれる。被害者に謝りたいと言ったが、「直接会えないので、弁護士を立ててください」と言われた。

・弁護士を立てて示談をお願いし、謝罪文を書いて示談金を渡したが、被害者は頑なに「示談しません」と言い続けた。ある日佐賀検察庁から呼ばれて、単刀直入に「あなたを有罪にします」と言われた。あなたは「反省していない。有罪にしたい」と被害者は言っていると。

・そして検事さんから妻と一度面談したいと言われ、現状を知らされた。「夫は有罪になり、犯罪者になる。新しい人生をスタートしなさい」と言われたが、妻は「私は離婚しません」と言った。そのことを後日知ったが、妻に返しきれない恩を受けたと思っている。

・検察庁から帰って妻と今後のことを話した。「それまで何度も両親が来てくれて世話になり、両親には迷惑をかけてきたが、心から謝ったことがある?」と妻に言われた。その言葉にドキッとした。「倫理指導で“後始末をしなさい”と言われたが、あなたは人生の後始末をしていない」と言ってくれた。すぐに両親のもとに行き土下座して謝った。

・「会社をつぶしてしまうことになってしまって申し訳ありません」と両親に謝った。父は怒っており、母は泣いていた。今までおやじの顔に泥を塗るようなことを何度もしてきたことが、甦ってきた。涙が流れて止まらなかった。本当に申し訳ないという気持ちが初めてわいてきた。

・謝罪のあと車の中で「両親に謝れたね。でも謝れたのは、ずっと示談を拒んだ被害者がいたからよ。何度も足を運んで有罪にしてほしい。ここで償って改心してほしいという気持ちで足を運んだはずよ。その人が足を運ばなかったら、あなたは一生死ぬまで親に謝ることができなかったよ。そのチャンスをその人がくれたのよ。その人に一生感謝しなさい」と言われた。

・その人に申し訳ない、有難うという気持ちになった。あの方の行為がなければ私は死んでいたと思う。会社がなくなり、路頭に迷い、妻もいなくなっていた…どんな人生になっていたかわからない。そのことに被害者の方が気づかせてくれた。

・両親に恩返しできる自分にならなければならないという気持ちになったとき、会社をゼロからやり直そうと考えた。不思議なことに2週間のあいだお酒を飲んでいなかった。飲みたいという気持ちがなくなっていた。

・弁護士から連絡があり、「田中さん、良かったですね。無罪です。不起訴になりました」と言われ、びっくりした。妻の言葉で、いろいろな人にお詫びして、人生の総決算をしようという気持ちになっているときに初めてこういう奇跡が起こり、正直驚いた。その時から仕事に対する向き合い方が変わった。両親に恩返しする純情な子になる、そのために仕事をするようになった。おかげさまで売り上げと利益が最高になりました。

(以下省略)

この講話文は、講話者の承諾をいただいて掲載しています。