熊本県倫理法人会

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9月20

【苦難を超えて感謝】熊本市南 経営者モーニングセミナー

講話者:熊本市中央倫理法人会 会員 森からし蓮根有限会社 代表取締役会長 森裕子 氏

テーマ:「人生は神の演劇その主役は己自身である」

2022年9月20日(火)、第476回 経営者モーニングセミナーが開催されました。

 

本日は、創業390年 元祖からし蓮根の森からし蓮根 森裕子様にご講話いただきました。江戸時代にお殿様に献上する目的でレンコン料理のコンペで開発したのがからし蓮根の始まりだそうです。嫁いでからの苦難の連続を踏ん張って乗り越えられたお話でしたが、その全てがあって今の自分があると、今苦難に直面している経営者に聞いて欲しいお話でした。

 

お見舞い婚からの家業

両親が経営していたお菓子の会社がつぶれて、本当に貧乏だった。兄は進学させないといけないので、私は働いてかせしてと両親から言われていた。15歳~16歳の頃は夜学に行きながら経理事務の補助の仕事をしていた。昔は今と違って決算時期は大量の書類をくるんで税理士事務所に直接持って行くのだが、雨が降っていたこともあり急いでタクシーから出た。向こうから車が来てるけど、まあいいやと渡っていると車に引かれた。私を引いたのが夫。軽傷だったけど毎日お見舞いに来た。それがきっかけで結婚した。もっと学校に通って勉強したいと思っていた私に夫の両親が「うちから学校に通えばいい」とのことだったので結婚したが、新婚旅行の次の日から朝3時起きだった。

 

辛くて娘と心中しようと思った

森の父はとても優しかった。うちはからし蓮根さえ作っとけば食いっぱぐれはないと言っていた。一方、母はとても厳しかった。箸の上げ下ろしから襖の開け閉め、おはようございますの声まで気に入らにと言われていた。辛くて辛くて離婚も頭をよぎったが、私たちの年代は離婚はとっても大変なこと。特に森からし蓮根は老舗だったので余計にできなかった。辛すぎて娘と一緒に死のうと思い、踏切に飛び込もうと思ったが、2歳の娘はハッキリは言わないが母さんなんばすっとねのような顔をしたのを見て、思いとどまった。一生懸命仕事をしていたが、義理の父が亡くなった。

 

横着な商売をしていたかもしれない

からし蓮根はその日に作ったら作った分だけ売れていた。夕方くらいに買いにこられても「もう無いよ」と言っていた。東京からお客様が来てるから1本だけでもと言われても、内心「今頃買いに来てもなかばい」と思っていた。今思えば横着な商売をしていたと思う。しかし、からし蓮根の食中毒が起きてからパタッと売れなくなった。これじゃいかんと思って、名刺を持って色んなところに営業に行ったが、食中毒が尾を引いてひどいときはからし蓮根投げつけれた。泣いて帰ってこともしばしば。売上げが元に戻るまで10年はかかった。

 

お墓に生えていた雑草

営業が功を奏し、全国から呼ばれるようになった。食中毒の後、実の母が亡くなった。私のかけごみ寺みたいな存在だった。長男が結婚、2人の子ども(孫)が生まれ、からし蓮根も復調。もう大丈夫かなと思った矢先、長男の嫁が胃がんで亡くなった。胃の調子が悪いからと隣の胃腸科を受診したが、胃がんで生きるか死ぬかが五分五分で手術もできないとのこと。色々試したが、胃がんが発覚して5ヵ月で旅立った。長男嫁との別れが一番辛かった。胃がんを宣告された時には手が重かった。長男嫁のお墓には毎日涙を流しながら通った。幽霊でもいいけん出てきてと。毎日通うと抜いても抜いても生えてくる雑草にたくましく生きるということを教わり、気分が変わってきた。

 

嫌われ役買って出ていた?

義母は、私のことを気に入らないと言う。どこが気に入りませんか?と聞くと、私の顔立ちが気に入らないと。義母は三田佳子似でとても美人だったのでそうかと思った。義母が亡くなる日のこと。義母が、「あたはまた都に行って商いばしよったな、あたは一生懸命全国で商うけん、ありがとなー、ひさし(森裕子さんのご主人)は蓮根あげるばっかりでなんもできん、今まで嫌なことばっかり言ってごめんなー」と。まさか義母がそんなことを言うなんてと驚いた。その日、義母は急変して亡くなった。事実は小説より奇なり。北風と太陽の話だと義母は北風になって私を鍛えてくれたんだなぁと思った。

 

すべてに感謝

辛い目にたくさんあったけど、孫が優しくて、きつかったら僕に言いなっせよと言ってくれる。人生は地図のない旅、地図があったらここには嫁がなかった(笑)。日本は本当にいい国。ドイツは新幹線が平気で30分遅れる。日本人であることに感謝。空気にも感謝。全てに感謝。当たり前に感謝。

 

会長挨拶、家族のことで悩みがあった。そんな時に「本を忘れず」を聞いて、娘の嫁ぎ先のお塔をあげることを忘れていたことに気づいて、お塔をあげた。するとその悩みが解決した。神がかりのように聞こえるかもしれませんが、事実。実践する1年にしたいとのこと。

 

本日は40名のご参加をいただきました、ご来場された皆様、誠にありがとうございます。Zoomでは1名のご参加でした。

以上、熊本市南倫理法人会 広報委員 宮村陶太(有限会社CAM建築設計事務所)がお送りいたしました。

また来週、サイナラ~。